総務人事の日々

渋谷の中小企業で総務人事。本職は人材開発です。が、人事制度の設計からトイレのトラブル解決までなんでもやります。

人材育成のしくみ

人材育成のしくみというと、階層別に設計して習得することのレベルが向上していくカリキュラムが思い浮かぶかもしれません。

過去に私は「研修」を中心に知識やスキルを伝達することを人材育成設計のスタートに設定したことがありました。年次の若いメンバーが習得するべきこと、マネジメントにあたって知るべきことなどを整理してプログラムをつくりました。しかし残念ながらうまくいきませんでした。研修は実施できましたが成果につながりませんでした。

私は元々研修屋さんでしたから、人材育成のしくみのキモが「職場の人間関係」であることになかなか気づかなかったのです。

人材育成だけにしぼってみても、職場にはいろいろな人間関係があります。

・教えてくれる人(直接の指導者、上長)
・見守ってくれる人(直接指導には関わらない先輩、あるいは取締役など)
・参考にしたい人(職場のエースなど)
・参考にしたくない人(成果や職場での行動に問題がある人)
・自分と同じようなことに躓いている人(同僚や後輩)

人が職場で育っていくにあたってはこれ以外にも多くの「人」が関わっているはずです。
先輩の電話口のやりとりを聞いていて、それを参考にするなんてことも人の成長を促す材料です。

職場にはこういう材料がたくさんあります。
これらを活性化し、活用することが何よりの大前提なのです。

人材開発がうまくいっている職場は、若手を「面」で支援するといいます。
指導者と指導される若手をつなぐ「線」でなく、その指導者の持っている社内人脈、若手のヨコのつながり、ナナメ上の先輩、そういったたくさんの人たちが若手に影響を与え続けられるしくみがあるそうです。

人材育成といえば、研修というのはもう成り立ちません。
職場をどう活性化していくか、という観点が研修にもなければその場限りのものになってしまうでしょう。