総務人事の日々

渋谷の中小企業で総務人事。本職は人材開発です。が、人事制度の設計からトイレのトラブル解決までなんでもやります。

自分の仕事をひとつ、確かに終えたことになる

返事をしない、とか挨拶しないという話の文脈で続きます。

昨日、社員と話す機会がありました。
どうも上司とそりが合わないようです。コミュニケーションがとりづらいと。

何か尋ねてもはっきりした返答がなかったり、挨拶の反応も薄い。
その上長はもともとそういう傾向の強い人です。そして残念ながら弊社にはそういうタイプの人が多いです。職人気質の会社だからでしょうか・・・。

作業のためちょっと席をはずす時なども声をかけていいものかどうかとても迷ってしまうということでした。
そのことについて話になりました。

「作業のために席をはずす時にどんな声をかけている?」
「『作業で別フロアに行ってきます』や『●●さんから頼まれた件で行ってきます』などです」
「そういう声かけは当然のことだと思います。あなたのしていることは間違っていません。でもそれに対して返事がないのですか」
「そうなんです。返事があるときもあればまったく無視・・・ということもあります。なので声をかけるべきかどうか上長の顔色をうかがうようになってしまっています」
「なるほど、無視されるようなことがあると不安になってしまうね。その感じてしまうことも普通です。でも僕はどんな場合でもその上長に声をかけてから席を立つべきだと思います」
「それがマナーですよね・・・」
「いいえ、マナーの問題ではないです。先ほど言ったように、席を立つときに声をかけるのは当然のことです。あなたは正しいことをしています。正しいことをやめる必要はないです。
たとえ相手から反応がなくてもあなたが声をかけた、ということはあなたは正しいことをひとつしたことになります。やるべきことを一つやったことになります。それも職場においては立派な仕事だと思います。
だから、相手から反応がなくても自分から声をかけたということだけで自信をもっていいです。声をかけるたびに、自分の仕事をひとつ、確かに終えたことになります。だから続けましょう。
相手の顔色なんて伺わなくていいと思いますよ」

上長とは技術的に大きな差があるため、気後れしてしまっているようでした。それで自信がなくなっているように感じました。

このやりとりをして、小さなことを確実にやる、という基本に立ち返れたようでした。
そしてその基本に立ち返れたきっかけは自身の美徳(相手にしかるべきタイミングで声をかけるということ)のおかげです。本人の日頃の行動で自身が救われることになったわけです。

こういう見えづらい美徳を社内でたくさん発見したいものです。