「人間とはなにか」
わたしは学生時代、人文科学をどっぷりとやっておりました。
文学、哲学、宗教学あたりの文献をガツガツ読んでおりました。
人文科学って結局何をやっているのか、といえば「人間とは何か」という問いを考え続けることです。世の中では文系学問不要論も喧しいですが、社会システムも人権も社会のニーズもすべては「人間とは何か」が出発点のはずです。その問いを飛ばして社会的なニーズに答え続けるのは「人間の欲」に対応しているだけだと思います。
そして現在、思うのは人事の仕事は「人間とは何か」といつも隣り合わせの仕事なのです。人間が欲だけで動くのであればこんなに簡単なことはありません。行動経済学や心理学は人間に対する理解は進みますが、人間に関するすべてを解き明かしてはいません。
なぜその人はその行動をしたか
なぜその選択肢を選んだか
「if」が検証できない状況が多い中で、「(この目の前の)人間は何を求めているか」と誠実に悩まなければなりません。
もちろん、悩まなくてもできます。権利と手続きの問題にしてしまえば処理はできます。
しかしその仕事は人間がやる仕事なのでしょうか、とわたしは思うのです。