総務人事の日々

渋谷の中小企業で総務人事。本職は人材開発です。が、人事制度の設計からトイレのトラブル解決までなんでもやります。

研修屋さんの世界観

何度か出入りしている人材開発・研修の営業さんから提案をいただきました。
結論から言えばまったくお話しにならず、早々にお引き取りいただきました。

今日のできごとから感じたことです。

 

1.営業さんなのに弊社のことを理解していない

お断りした理由がこれです。

弊社は新卒一括採用は行っていません。ピカピカの22歳で入社してくる人はおらず、いわゆる「新人」はいません。また社内の階層は曖昧です。年功的な組織でないため、中堅層、管理職層のような分け方にとても違和感があります。

ということを10回くらい話したのですが、持ってきた提案は「新人層、中堅層、管理職層の階層別研修プログラム案」。共感できることがひとつも書いてありませんでした…。

彼と話していて、彼の考える「会社観」と弊社のキャリアパスに大きな隔たりがあることがわかりました。彼は何度説明してもこの隔たりに気づきませんでした。会社に戻って上長に相談したりしなかったのかな。世界観がちがいすぎて提案にうなづく理由がひとつもありませんでした。

 

2.管理職のやることって部下育成だけなの?

これは研修屋さんとお話ししていて時々感じること。今日もそうでした。
階層別プログラムになっていると、管理職のプログラムは妙に数が少なくなっていて、内容も「部下育成コミュニケーション」「育成のコーチング」「チームマネジメント」などが多いです。

OJTを人材開発のメインエンジンとする我が国では管理職とはこういうふうに捉えられているのでしょう。管理職が学ぶことにイノベーションも問題解決も生産性向上もないことに違和感…。そういうところはベンダーがやることじゃない、という取り決めというか遠慮があるように感じます。
それともある程度熟達した人は(少なくとも研修の形式で)人からものを教わるというのに違和感があるのでしょうか。中間ベテランの学習については会社からも放置されているように思います。

そうか、「集合研修」のイメージがいけないんだろうな。おっさんたちと若者でワークショップやったらいいんだろうな。

創業50周年を迎えます。

来年、弊社は創業50周年を迎えます。
(実は創業と登記上の創立にはタイムラグがあるので何をもって○周年とするかは社内でも意見が別れるところであります)。

 

ご多分に漏れず、イベントやら事業やらをいくつかやります。社内から実行委員会を募り、わたしももちろんメンバーです。「無難に終わらせることを目指す!」とキリリと言い切れればいいのですが、その程度のテンションでやるには負荷が重いです。
せっかくですから社員と一緒に意味あるものにしたいなーと考えています。

 

わたしたち社員は、50周年という節目の年にたまたま居合わせただけです。「ショージキ、ベツにどーでもいい」と考えることもできます(いや、それがフツウです)。
でもせっかくなので「わたしたちが所属しているこの会社」について想いを巡らせる機会にしたいと思います。

・弊社の原点とはなんだろうか。どんな価値があり、誰に喜んでもらっているのだろうか
・わたしたちはこの会社で何のために仕事をしているのだろうか。
・これから会社が求められることはなんだろうか。こういう時代にこの会社はどんな夢を描くのだろうか

ただのイベントを目指すのではなく、こんな問いに答えることにチャレンジしたいと考えています。

管理部門の顧客は誰かというキホンのキホン

先日、良いご縁が続いている社外の方と久しぶりにお会いしました。
近々組織の長として1ランク上がるということで組織や人事のことなどを話しました。

そのときに「人事などの管理部門の顧客は誰だろうか」という話題になりました。
あちらの人事の方はハッキリと「管理部門の顧客は社員」とおっしゃっていました。

 

とても違和感を覚えました。
わたしは社員を顧客だとまったく考えていない自分に気づきました。極端に言うと一度もそう考えたことがありません。うん、たぶんない。
わたしたち管理部門の「サービス」は確かに社内に向けられたものであることが多いです。でもだからと言ってその受け取り手である社員はそのままわたしの「顧客」なのでしょうか?

 

ドラッカー先生に「あなたの顧客は誰か?」と尋ねられたらわたしは「わたしの顧客は弊社の顧客です」と答えます。
わたしは人事担当者ですから弊社のサービスを受ける顧客と直接接することはほとんどありません。しかしわたしは自分の打つ施策はすべて自社の顧客のために行っています。なぜなら人事施策の目的は社員のパフォーマンスを向上させて顧客の満足を高めることだからです。わたしが設計する人事施策は弊社の顧客満足につながっていなければ意味がないです。

 

よく「CS(顧客満足)を高めるためにはES(従業員満足)を高めなくてはいけない」と言われます。そう教えられたこともあります。でもわたしは「ホントかな?」と思うのです。

このフレーズが説得力を持つのは自社事業のCS向上のためのサービスがしっかり設計されていることが前提で、そのサービスのためにES向上策が結びついている場合だけだと考えています。決してESがCSに優先するものではないと思います。
(そもそもこのフレーズ、CSとESの相関関係を因果関係だと読み違えた誰かが広めたんじゃないかと勘ぐっています。「CSが高い企業はESが高いんですよ!だからESを高めましょう」とか言って営業してまわっている人材サービス会社さんが目に浮かびます)。

 

わたしは自分のことを「白魔道士」だと思っています。ロールプレイングゲームに出てくるあの白魔道士です。後列から回復魔法や補助魔法をかけるのが役割です。でも戦士や勇者と一緒に戦闘に加わっています。意味もなく防御魔法をかけたりしません。そんなの甘やかしです(笑)。勝つために魔法を使うのです。パーティーの仲間に補助魔法をかけつつ、時々自分も攻撃に参加する。そんなパーティーの一員でありたいです。

 

※もちろん従業員が1,000人以上の企業になれば意識はだいぶ変わるのだと思います。わたしはこのポジションが好きで中小企業の人事をやっていると言っても過言ではないです。

研修を共有した仲間とつながっておくこと

大型の研修のお手伝いをしてきました。
かなりガッツリなお手伝いで2泊3日にお付き合い、研修全体のコーディネートをしました。

 

とても充実感のある研修でした。講師の熱意、情報量、参加者の熱意、創意工夫によって全員が全力を尽くす時間になれたと思います。最近は専門職の現場もとても忙しくなっています。次から次へと仕事が降ってきます。
ですから、この専門職が持つ本質的な考える方法・考える態度を養うことが難しくなっているということを耳にすることがあります。今回の研修は、現場ではなかなかできなくなってしまっている「じっくり考える・何度も考える・なぜなぜと考える」ことに挑んでもらいました。

 

本当に素晴らしい3日間でした。
弊社のメンバーも2名参加したのですが、あんなに楽しそうな顔はなかなか見なかったなあ、と会社の環境について反省です。

 

あまりにも素晴らしい研修だったので研修コーディネーターとしてもうひとつ仕掛けます。SNSのグループでしばらく学びを深める期間を共有しようと思います。
研修はとかくその日で終わってしまいます。研修の記憶はだんだんと遠くなります。
ちょっともったいないですね。

幸い、運用に協力してくれそうな方もいますのでまずはグループを作って、研修で使用した教材や成果物を共有してみようと思います。新しい価値を提供することができるでしょうか。

アルバイト採用のレビュー

3月に行ったアルバイトさん募集の案件。結果的には採用目標は達成できたのですが、今日はその採用活動のレビューを行ないました。

 

総応募者数  77人
有効応募者数 66人
面接設定数  28人
面接実施数  21人
合格数    17人

 

予定の人数を採用することができたのはよかったのですが、採用活動としては課題が残ります。
有効応募者数(書類選考通過)→面接設定数のギャップが大きすぎます。
要因として考えたこと。

・面接枠が少なかった
 → 面接担当者が自分1名だったため面接を設定できる枠が限られてしまいました。

・面接設定方法

 → 今回は「調整さんカレンダー」というツールを使いました。

予約システム「調整さんカレンダー」無料でスケジュール管理

こちらの予定をWeb上にオープンにしておき、その予定が記載されたカレンダーのURLを応募者に送ると、そこに応募者自身でアクセスして空いている時間帯の予約を入れるというものです。
面接日程調整のやりとりが発生しないのでオペレーションがとても楽でした。しかし結果を見るとここで脱落した人がとても多いということになります。
その理由はわかりませんが、スケジュール調整でこちらのコントロールが効かなくなったのかな、とも感じました。

・Web応募につきものの「とりあえず応募」

 → その後のアクションにつながりにくい人たちが多かった

 

今後の採用活動では面接設定のステップのオペレーションを見直してみようと思います。省力化すればいいってものではない。応募者の方とのファーストコミュニケーションですしね。

 

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今回採用できた人たちは、飲み込みが早くて気働きができてとてもよい、という評価を現場からいただきました。面接の際に「レンガを積んでくれ」でなく「人々が集まる教会をつくってくれ」と伝えたメッセージが効いたのだと思います。

 

量的には課題がありますが、質的にはよい採用だったな、とまとめました。

システム更新の期限が近づく

弊社のサーバーたちは、自社で構築されたものです。Linuxなどのフリーの技術を使いながら自分たちの使いやすいようにアップデートしてきました。

 

しかし世界の流れはとても早いです。社員はWindowsを使っていますからMicrosoft様のスケジュールを無視できません。WindowsXpからWindows7へ。その間にも細かなアップデートにもサーバーをチクチクといじってきたのですが、Windows10はなかなかうまくいかないようでエンジニアが苦慮しています。

2020年にはWindows7Windows Server2012、Microsoft Office2010のサポートが切れてしまいます…。
いよいよ何もかもをMicrosoft仕様するかしないかの選択を迫られています…。

 

Windowsがいやなわけでなく、Microsoftがいやなわけでなく。
自分たちのやりやすいように構築していた環境が通用しなくなったことになんとなく納得がいかない悪あがきです。

環境をこんな風につくれるのも中小企業の醍醐味であるわけです。

ダイバーシティの実装

働く人たちにもいろいろな事情と背景があります。
それを無視して従業員に働いてもらうことはできない…ダイバーシティだ!

 

なのですが、これを制度やツールや運用やらに「実装」するのはなかなか骨が折れます。ツールの準備はできてもそれをどう運用したら効果的なのか、技術的にはどんなことでも可能なことにはどこで制限を設けるのか。

ただ要望を受け入れるのでなく、会社の価値観が試されるような場面もあります。今までのはたらき方とまったく相容れない考え方そする必要もあります。

 

従業員が当たり前のように同じ条件、同じ環境、そして同じような価値観で働いていた状況に挑戦をするわけです。目をつぶってあきらめることだってできます。

でも人事屋さんのカンが「いま整備しておかないと絶対にまずい」と言っているのです。ダイバーシティ実装のためのエンジニアリングに力を尽くします。

はたらき方は、いつでも何度でも変えることができるのが理想だと思います。

実は、ワークライフバランスという言葉にはちょっと抵抗があります。
すばらしい言葉ですし、これで救われた人もたくさんいると思います。

 

あくまでもわたしの個人的な感覚としてですが、ワークとライフの関係は、従業員が自分で決めればいいです。バランスを崩してどちらかに偏ることを選んだっていいと思います。人生のステージにおいてそのバランスを自分で選べることの方が大切です。

 

ですからわたしは言葉としてはフレキシブルワークの方が好きです。
はたらき方を自分の意志でいつでも、何回でも変えることができるというのが理想的だと思います。

 

・ライフイベント(出産、育児、介護)
・学習機会(留学、就学、研究)

 

その理由を問わずにというのがポイントです。
もしかしたら

 

・人間関係(上司が気に入らないから)

 

なんてことも含まれるかもしれません。
上司のマネジメント方法の変革を求めるために、はたらき方変更届を武器にするなんてことも可能になったりして。

 

・顧客関係(あまりにも要求が理不尽だから)

 

はどうでしょうか。
これを許すのであれば、会社の強い解雇権とセットになりそうですね。冗談です。

 

完全なるフレキシブルワークの成立のためには、仕事の成果の再定義とその共有が必要になります。企業と労働者の契約書は厳しいものになりそうです。その成果を達成するためにははたらき方は問わない、という世界になります。

そうなると必要なのは労働者へのアントレプレナーシップ教育になってくるのでしょう。